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「秩序の敏感期」

-育児-  
18.09.03
深津先生の前回の記事「家庭でできるモンテッソーリ教育」はこちらから




マリア・モンテッソーリが子どもの観察を通して系統だてた「モンテッソーリ教育」において、重要な発達の法則の一つが、「敏感期」です。

モンテッソーリは子どもたちを観察する中で、何かに特別に敏感になる時期があることを見つけました。敏感期が訪れると、子どもは環境の中にある特定の要素に対して強く興味を持ち、満足いくまで何度も同じ行動を繰り返します。

ハッキリわかりやすくあらわれる敏感期の一つが、「秩序の敏感期」です。1歳半から3歳ぐらいの時期に強くあらわれて、ものの順番や場所、やり方などにとてもこだわります。




 




たとえば、家に帰る時にはいつも歩道のへりの上を歩く男の子がいます。ある日、お母さんはとても急いでいたので別の道を通って帰ろうとすると、男の子がひっくり返って大泣きしたので、いつもの道で帰ることになりました。

この子は歩道のへりの上を歩くという、カラダのバランスを高める「儀式」が飛ばされてしまったことが嫌だったのですが、それを言葉でうまく伝えられないから、ひっくり返って泣いて訴えたのです。同じ道順という秩序にもこだわりながら、頭の中の情報をファイリングしている時期なので、いつもと違ってしまうことが嫌なのです。



 



ママとパパが座る席が入れ替わる、食事の時の自分のものとは違うスプーンが用意される、着替えてから歯磨きが日課なのに着替えの前に歯磨きをさせる、などの「いつもと違う」ことに、子どもは非常に不安を感じて騒ぐことがあります。これも、「秩序の敏感期」ならではのことです。
 
この時期の子どもにとって、秩序は安心感を与えるものです。子どもが大騒ぎしている原因がわがままや意地悪ではなく、限られた期間の「秩序の敏感期」のせいだと分かれば、家族も大らかに受け止めることができるのではないでしょうか。そして、すべての大人が「秩序の敏感期」を理解していたら、社会全体でこの特別な時期の子どもを温かく見守ることができるでしょう。






- おしえてくれたひと -
国際モンテッソーリ協会公認教師、一般社団法人「AMI友の会NIPPON」副代表

深津高子 FUKATSU Takako




「家庭でできるモンテッソーリ教育」や、教師養成コース・講演会の通訳、モンテッソーリ著書の翻訳やピースボート「洋上子どもの家」の活動を通して「子どもから始まる平和」を広めている。さらに、カフェで親向けのお話会「モンテッソーリ@ホーム」など、各地で様々な講座やワークショップを開催中。

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